平成19年3月13日のインタビュー

西川氏 最近どうですか?

おっさん まぁ、ぼちぼちやな。

西川氏 そうですか。 大学はアメリカンな冬学期の最中です が、土曜の日本語補習校は卒業の季節ですね。

おっさん そうやなあ、うちの子もこれで幼稚 園を卒園して、4月から小 学一年生やがな。 早いもんやで、ほんま。

西川氏 へえー、もう7才なんですね。 ほんと早いもんですよね。

おっさん だから早いって言うてる がな。 俺の「早い」を取るなよ。 あたかもお前が最初に「早い」と言い出したみたいに言いやがって。

西川氏 (アホか) いや、そんな

おっさん うるさい! ごちゃごちゃ言い訳せん と、素直に謝れ。 日本では、たとえ自分は悪くなくても取り敢えず謝ることが美徳と されるんや。 ごちゃごちゃ言うてる暇があったら、とっとと謝れ!

西川氏 (美徳かどうか知らんけども、これぐ らいやったらもうええわ) はい、それでは、えー、おっさんの「早い」をパクッてしま い、誠に申し訳ございませんでした。

おっさん そうやがな。 それでええねやがな。 よっしゃ、よっしゃ。

西川氏 (なんともアホなやりとりやなあ。情 けないわ、ほんま) まあねえ、確かに日本人はよく謝まりますね。 アイアムソーリーっ てよく言いますよ。 でも、アメリカ人がアイアムソーリーと言ってる姿はあまり浮かば ないですね。 誰かが亡くなったときとかは言いますけど、あれは「お気の毒さまです」 という意味ですから謝罪ではないですし。 やはり、アメリカ人って謝らない人種なんで しょうかね。

おっさん そんなこと無いやろ。 アメリカ人も 謝るべきところでは謝るやろ。

西川氏 いや、でもよく言いますよ。 アメリカ 人は謝らないって。 「謝らないアメリカ人」とか何とかいう本も出てますよ。

おっさん お前って相変わらずアホやなあ。 「謝らないアメリカ人」という本が出たら、アメリカ人は謝らないことになるのか。 お前って、単 細胞やなあ。 アメーバやなあ。 ネバネバやなあ。 カワイイなあ。

西川氏 (おちょくるねえ) いやあ、結構そう感じてる日本人は多 いと思いますけどねえ。

おっさん 多い少ないの問題やないやろ。 それ は、謝るべき状況と謝り方の問題や。 そしてそれは文化の違いというやつや。

西川氏 といいますと?

おっさん たとえば、どっかの店でCDプレーヤー を買ったとする。 家に帰って見てみたら壊れてたとする。 店に戻って「壊れてるやん け、あほんだら!」 と文句を言うわなあ。 そこで日本やったら、「誠に申し訳ございません。どうかお許しを!」とか言う て店員は謝るやろ。 でも、アメリカやったら「OK、じゃあ新しいのと交換してやるよ。 ほらよっと!」ってな具合で終わりや。

西川氏 ほら、やっぱ謝らないじゃないですか。

おっさん だからお前はアホやねん。 アメリカ の場合、そこは謝 るべき状況ではないということやがな。 正味な話、CDプレーヤーが壊れてたのは その店員のせいではないやろ。 自分が壊したわけでもないのに、なんで謝らなあかんねん な。 そうやろ? それにそんなときの為のメーカー保証というものももあるがな。 つま り欠陥 品があることは想定済みなわけや。 ただ運が 悪かっただけやがな。 誰も責められることはないし、誰を責める必要もないわけや。 ただ 冷静に新品と交換してもらえばええだけやがな。

西川氏 いや、しかしですねえ、

おっさん 黙って聞け! 他にもこんな状況があ る。 たとえば、レストランでビーフを頼んだらチキンが出てきた。 そこで「わし、ビー フ言うたやんけ! どないしてくれんのじゃ!」と文句を言うと、日本ならば「誠に、誠 に申し訳ございません。 大至急、猛牛を連れて参りますので!」となるが、 アメリカならば「あら、そうなの? てっきりチキンだと思ってたわー。 はっはっはっは! はいはい、じゃ あビーフ持ってくるからねー!」ってな具合で軽く 流されて終わりや。

西川氏 ほら、やっぱり謝らない

おっさん アホか。 これもしゃーないことやが な。 人間誰でも間違うことあるがな。 そ れに、ちゃんと後でビーフを持ってくるって言うてんねんから、別に問題無いがな。

西川氏 いやあ、でもやはりそれは問題じゃな いですかねえ。 注文を間違えたのは向こうなんですから、そこはちゃんと謝らないと、

おっさん そんなんやから、お前はアホやと言 われるんや。 これが文化の違いというものなんや。 謝る状況は文化によって違うというわけ や。 日本では謝るべき状況が、アメリカではそうではないというわけや。 これを「なる ほど、そうなのか!」といって納得できないようでは、異文化の理解など到底できるはずがな い。 お前は、異文化を理解できない非国際人というわけや。 グロバルーでも何でもない わけや。

西川氏 (グローバル?) いやあ、でも、そ れは屁理屈じゃないですか。 そんなこと言ってたらダメでしょう。

おっさん はいはい、異文化の理解というのは ほんまに難しいんやなあ。 がんばれよー。  それから、もう一つ、謝り方の問題やけども、 アメリカでは Excuse me と言うやろ。 人とぶつかったときや人の前を通るときに、 Excuse me と言う。 これは直訳すれば「許してねー」ってことや。 これはある意味 謝ってるのと同じことや。 しかし、日本では人にぶつかって「許してねー」は無いやろ。 許すか許さんかは、まずは謝ってからの話やがな。 謝りもせんと、何が許してやっちゅー ねん。 でもなあ、これがアメリカの発 想というやつなんや。 どうせ「ゴメン!」って謝ったところで、許してくれるかどうか など分からん、ならば 直接許してくれと頼めばええというわけや。 要するに、根本は同じやけども表現が違う ということや(「すいません」と「許してねー」)。 まあ、これを理解できんかったら、世界で活躍す ることなど一生たってもでけへんわなあ。

西川氏 (何も知らんくせに、知ったようなこ とを言うてはるわ。 まあ、誰もおっさんの言うことなど信じないやろうし、ほっとこ)  なるほどねえ、そういうことなんですねえ。 

おっさん そうやがな。 やっとわかったか。 お前もちょっとは勉強して、かしこくならなあかんぞ。 発想の転換で異文化をしっかり 理解して、外国人とうまくやりあえるようにならな。 これからのグロバルーな時代を生き 抜けんぞ。

西川氏 (グローバルね) はい、分かりまし た。 しっかり理解して、グロバルーな人間になりたいと思います。

おっさん そうか、よっしゃ。 まあ、せいぜい ガンバレ。 ほな、そろそろ行こか?

西川氏 えっ、どこへ?

おっさん 寿司食いに行くんやがな、お前のお ごりで。

西川氏 はあ?

おっさん お前さっき、わしの「早い」を取っ たことを謝罪したやろ。 謝罪して罪を認めたんやから、それはちゃんと責任を取らなあかん がな。 取り敢えずは寿司で許しといたるから、さあ、行こう!

西川氏 ええー、そんなー。 謝るのが美徳だか ら取り敢えず謝れって話だったのに!

おっさん アホか。 グロバルーな世界では、 謝罪したらそれで終わりというわけにはいかんのや。 最後まできっちり責任を取るということになるんや。 とはいえ、寿司で済むなら安いもんや。 心 配せんでも、お 前も食べたらええねんから。 さあ、行くぞ!

西川氏 ちょっ、ちょっとー! 待ってください よー! ほんま、このおっさんの文化が一番理解できんわ〜。

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