平成20年3月23日のインタビュー

西川氏: 最近どうですか?

おっさん: まぁ、ぼちぼちやな。

西川氏: NASAで働き始めてから、何だか落ち着いた 感がありますね。

おっさん: そうか? まあ確かに、学生に 毛が生えたようなミシガンでの ポスドク生活と違って、ここでは全てがキッチリしていて、とりあえず8時間 しっかり仕事して結果を出せば後は自由やし、同僚と一緒に コーヒーや昼飯を買いに行ったり、

西川氏: えっ! あの孤独なおっさんが同僚と昼飯? それ はかなり画期的ですね。

おっさん: はははは。 まあな。 でも、 行きたくなければ行かなくてもいいし、他に約束があれば勝手に消えればいいし、 ほんまに自由や。 朝何時に来ようが、何時に帰ろうが、あんたの勝手ってなもんや。 この環境はわしには合っとる。

西川氏: なるほど。 ひょっとしたら、ここでずっ と働くことになったりするんでしょうかね。

おっさん: アホ、そんなわけないやろ!

西川氏: ですよね。

おっさん: これもしょせんは契約やねんから、 いつものように、いずれ首になる日が来るんや。

西川氏: (落ち着きのない人生やなあ)

おっさん: そらあ、世の中何が起こるか分からんさかい、 ひょっとしたらここに残ることも有り得るやもしれん。 し かし、そんなこと考えてどうする? 安定した職を得る為に頑張るなんて、 そんなアホな話があるかいな。 そんなもん、動機付けを完全に間違っとるわ。

西川氏: でも、今度はNASAなんですから、 ずっと居れたらいいじゃないですか。

おっさん: お前はほんまにアホや。 間違いな いわ。 NASAであろうが、CASAであろうが、PASAPASAであろうが、そんなもんは何の関係 も無い。 常にかまし続けることに価値があるんや。 無難に生きたかったら、最初から アメリカなんか来てるか、アホ!

西川氏: (確かに、せっかく入れた大学院を 4ヶ月で辞めた男やからなあ) それはそうですけど。 でも、現実的に考 えて、いつまでもそんなこと言ってられないでしょう。 お子さんの教育費も必要ですし、 いずれはマイホームも必要でしょうし、それにはやはり安定した収入がないと

おっさん:  だからお前はアホやねん。 子供の 教育費って何や? それは大学か? 子供は皆大学へ行くのか? なあ? それはもう決まっ てることなのか? マイホームが必要って何や? 一軒家か? 誰でもいずれは一軒家を買 うのか? それはもう決まってることなのか? お前って奴は、ほんまに、

西川氏: いや、そりゃあ決まってはないですけ ど、でも普通に考えれば、

おっさん: じゃかまっしゃー! もうしゃべるな! そんなこと言うてたら、全国の未来ある若者に悪影響を与えるだけや。 だいたいからし て、「普通に考えれば」なんて言うものは大概当てにならん。 事実、かつてわしが日本 で他大の大学院を受験したときも、「研究室訪問してないの? 一応挨拶しておかない とダメだよ。普通に考えて、全く知らない人間をとるわけ無いじゃん」などと言われたが、 「なるほど。ならば、挨拶無しで合格してみよう!」ということで、ほんまに挨拶無しで受験して、 しかも面接試験で「○○教授の研究室をご希望のようですが、○○教授をご存知で すか?」と聞かれ、「いえ、存じません」と答えると、「私が○○です」と言われてしも たけども、でも結局は合格したがな。 要するに、試験の出来が悪い顔見知りよりも、 試験がよく出来た見知らぬ人ってことやろ。

西川氏: (無茶しとるなあ)

おっさん: さらに、かつて日本で新設される予 定だった何とか工科大で教授を募集してたところに、まだ学生の分際で応募したことがあっ たけども、あのときだって、教授募集に学生が応募するなんて普通に考えれば到底無理やと 言われたが、なんと面接に呼ばれて、驚くことに採用すると言われたがな。 まあ、あれ は結局大学の設置計画自体が無くなってしもて、残念なことになったけども。 要するに、 募集要項なんか取り敢えずこんな感じってだけの話で、結局のところは カマせるかどうかが問題ってことや。

西川氏: (ほんま無茶しよるわ。はははは。)

おっさん: もっと身近なことでも、いろいろあ るわいな。 とにかく、「普通に考えればどうこう」みたいな固定観念とか、 「どうせうまくいかないよ」とか「それはしょせん理想であって、現実は」みたいな、 若者のモチベーションをバッサリと刈り上げてしまうような言葉を使うな! こ の世の中に不可能なことなどあるものか! 人間は大学に行かずとも人に尊敬される立 派な人間に育つし、マイホームを持たない幸せ家族など五百万とおるわい。 実際にわしは そういう人間をたくさん知っとるわ、アホ! お前のようなしょーもない大人の言動に影響され て、せっかく素晴らしい素質を持っていながらミュージシャンへの道をあきらめたり、 めちゃめちゃ面白い奴やのにお笑い芸人を目指すこともなく暗い工場の地下トイレを 黙々と掃除する仕事に就いたり、

西川氏: (それって、どんな仕事やねん?)

おっさん: めちゃめちゃ芸術をやりたいのに 変に就職を考えて工学系へ進学したり、奉仕の精神のかけらも無いのに 安定収入の為に国家公務員になったり、今すぐにでも自分でお店を開きたいのに、 とりあえずサラリーマンになってしまったが最後、二度と独立できなくなったり。 一体 どれだけの若者が、自分の可能性を試すことさえもできず無難な人生を 強いられているか、お前は知っている のか!

西川氏: いえ、知りません。 どれぐらいいる んですか?

おっさん: アホ! いっぱいおるわ、そんなもん!

西川氏: (無茶苦茶や) へえ、いっぱいいる んですか。 確かにそれは残念なことかもしれませんけども、やはり大人としての 責任もありますから、あまりいい加減なことは言えないんじゃないですかねえ。

おっさん: ほな言うなや。 お前みたい なアホは黙っとけ。 とにかくわしはカマし続ける。 普通はどうこうとか、 そんなものは不可能やとか、どこで誰に何を言われようと、 わしは絶対にカマしてやる。 そうやって、ここまでわしは生き残ってきたんや。 これからも、カマしてカマして、これでもかというぐらい カマして、もうやめろと言われても頑なにカマして、それはもうゴツゴツの パリパリのカマカマで豪快にカマしてやる。 正味な話、カマせなくなったら、もうこの ossanworld も終わりじゃ!

西川氏: (なぜか笑いがこみ上げてくるんやけ ど。 カマすって一体何?) なるほど、そうですか。 ならば大いにカマしてください。  若者の為にも、是非カマし続けてください。 きっと、それは若者に 大いなる刺激を与えることでしょう。 私は、おっさんがカマすのを邪魔したくないので、 あえてカマさないことに致します。 そうやって陰ながら、おっさんがカマすのを応援 したいと思います。 是非とも豪快にカマしてやってください! お願いします!

おっさん: よっしゃ! ほんだらお前はカマすな、 わしがカマす! こらあ、どけどけー! カマっすぞ、おらあ! 腹減ったから、 とりあえず飯カマっすぞ! 食後にはコーヒーもカマっすぞ! トイレもカマして、 風呂もカマして、ふとんにもぐって朝までグーグーカマしたるからな! 覚えとけよ!

西川氏: (マジで、カマすって何?) はい、 では今日はこれで失礼しまーす! (はいはい、もう帰ろ、帰ろ。)

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