平成21年4月3日のインタビュー

西川氏: 最近どうですか?

おっさん: まぁ、ぼちぼちやな。

西川氏: 前代未聞の数値流体力学専門書 「I do like CFD, VOL.1」がさっそくちょろちょろ売れているらしいですね。

おっさん: まあな。 ちゃんと見る目を持ってる人 はいるもんや。 他では得られない情報が満載やねんから、内容的には買わざるをえない 本や。 ただ、そのスタイルに抵抗を感じて手が出ない残念な人は多いやろうな。

西川氏: だったら、ちゃんとしたスタイルで書けばいいじゃな いですか。

おっさん: もー、だから凡人は嫌やねん。 なんで わしがそんなことせないかんねん。 いいか、大事なことは同じ土俵で勝負してはならないという ことや。 他の本と同じように真面目なスタイルで書くという時点で、もうすでに同じ土 俵に上がっとるんや。 そんなことしたら既存の本と比べられて、同じようなスタイル、同じよう な構成、同じような説明に縛られてしまうんや。 出版社なんかが絡んできたらも う終わりや。 編集者は今までの経験をもとになんじゃかんじゃ言うてくるさかいに、 わしのユニークさはことごとく消されてしもて、結局つまらない本がもう一冊世に出る ことになるだけや。 そうすればそこそこ売れるのかもしれんが、そこそこで終わり じゃ、そんなもん。 そんなことでは大きなインパクトを与えることはでけんし、長く後世に残るような価値あるものなど 作れるはずがない。

西川氏: そこそこ売れればいいじゃないです か。 何十年も残るような価値の高い本なんて、なかなか書けないですよ。

おっさん: うわ、くさ! くっさー! 今何て言 うたん? そんなもの書けないって? わしはそういうこと言う人間と会話するのがいっ ちゃん嫌いやねん! お前はそんなつまらん土俵の上でダラダラしとけ、アホ。 わしは そんなしょーもない土俵には近づきたくもないわ! ほんま、人と同じ土俵の上で競うことがどれだけしょーもないこ とか、お前にはわからんか? 例えば、大学受験という土俵を考えてみろ。 合格可能性 が何%とか、偏差値がどうこうとか、出題者の意図がどうこうとか、一流大学や三流大学がどうこ うとか、その土俵の上でしか意味を為さないようなことに振り回されてしもて。 また、就職活動という土俵に乗れば、 無難な紺のスーツに身を包んでマニュアル本で見かけたようなセリフを面接で繰り返し、 内定もらったらもらったで「勝ち組だぜ!」とほえて、さらには会社の知名度なんかで自慢したりして。  いつも他人と比べて一喜一憂したり、不安になったり安心したり。 しょーもなさ過ぎるわ。

西川氏: いや、でもそれは誰もが経なければ ならないものでしょ。

おっさん: 大学に進学しない人を無視すんな!  アホか! スポーツやあるまいし、人生にはいろんなプレイの仕方があるんや。 それを 一つの土俵の上でセコセコ競い合って終わるなんてハゲや。 だいたい一つの土俵で勝 ち組となった人間はそれからどうするねん? 東大教授になってもたらどうするねん? そこに留まってれば気持ちエエねんから、 もうそれで終わりやろ。 例えそこからさらに上の土俵へ進むとしても、結局は同じことを 繰り返すだけや。 男やったら、否、女でも、せっかくこの世に生きてるのであれば、 自分でオリジナルな土俵を作ってみろっちゅーねん! そこに他の人間がわんさか集まっ てくるようなユニークで価値ある土俵を作ることができたら、それこそが素晴らしいこと やがな!

西川氏: (相変わらず無茶言うわ) はあ。

おっさん: 研究もそうや。 博士取るのに何年か かったとか、どこの大学だとか、論文の数がどうとか、流行の手法がどうと か、そんなことを気にする時点でもうあかん。 さっさとその土俵から降り て、己の魂の導くままに研究を進めて論文を書くことや。 誰も見向きもしないような、いっそ笑われるよう なものが作れたら、それはまさしく大成功や。 それを突き進めていけば、いつか自分の土俵が出来 上がり、結局は他人も集まってくることになる。 そうやって初めて自分が第一人者にな れるんやないかい。 大勢の人間がひしめき合う他人の土俵の上でノコッタノコッタやってるう ちは雑魚にしかなれんわ、アホ!

西川氏: (一理ないわけではないけども。。。)  へえ。

おっさん: とにかく、 周りとしょーもない比較ができないような場所へ身を移せということや。 大学受験で中途半 端するんやったら世界へ一文無しの旅に出るとか、料理が得意なら迷わず料理学校に行 って死ぬほど頑張るとか、プロを目指して弟子入りするとか、全く別の道を進んだらええ。  そうすればもはや偏差値や大学の名前などは全く意味を為さなくなっ てしまうんや。 それでも死ぬほど努力してその土俵で大活躍すれば、面白いことに、いつか大学の教授として迎えられる こともあるし、政治家として担がれることもあるやろう。 就職活動も、普通に周りと 同じように行動せずに、真っ赤なスーツで他の誰よりも熱く語って内定をもぎ取ったり、 志望動機を全く語らず逆に「自分を雇わないとどれだけ会社が損をするか」を語ったり、 社長を直撃して「私を雇えば業績が2倍になります!」とアピールしたり、 何なら敢えて派遣労働者になってそこからグイグイのし上がって見せたり。 そうやって、 大多数がひしめきあう土俵ではなく、独自の土俵の上で勝負するんや。 そうすれば、世 間一般の常識など気にすることなく、自由にノビノビと活躍できるんや!  

西川氏: (結局は別の土俵に移るだけじゃな いの? 何かよくわからんわ)  うーん。

おっさん: おい、そこの中学生! シャーペンな んか使わず万年筆を使え! 流行を追うのはやめて古着を着こなせ! 大好きなアイドル 歌手と決別して昭和の演歌を聞け! プリクラもやめてプリケツを鍛えろ! そうやって 人とは違うことを始めて、いつか自分だけのスタイル(土俵)を確立するんや! さあ行 け! 何をぼけっとしとんじゃ、さあ行け、行くんだジョー!

西川氏: (何でジョーやねん) はい、 では今日はこの辺で! さようならー!

おっさん: ジョー! ジョーよ!



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