平成17年10月3日のインタビュー

西川氏 最近どうですか?

おっさん まぁ、ぼちぼちやな。

西川氏 とうとう10月に入ってしまいました。 少し肌寒くなってきましたね。

おっさん まあぼちぼちな。 しかし雪の季節が近づいてきてる思うと憂鬱になるわ。

西川氏 雪は嫌いですか?

おっさん 見るだけやったら キレイでええねんけど、雪の中の車の運転を考えるとな。 それだけは未だに疲れるし嫌やわ。

西川氏 まあ、確かに 雪の中を滑ったりしながら運転するのは精神的に疲れますよね。

おっさん アナーバー内は 別にええねん。疲れるのはKOBYに行かなあかん土曜日や。いつもはKOBYまで30分くらいやけど、 雪の時は1時間以上かけてトロトロと行くことになる。 ハイウェイでクルクルドーンと深い雪に沈む車を横目に 見ながらな。

西川氏 雪の中でもゆっくり走っていれば 大丈夫なのに、結構スピードを出して走る車がいますよね。 で、そういうのがクルッといっちゃいます。 明らかに過信ですよね。

おっさん まあ、そんな感じや。 わしは絶対にクルクルドーンは嫌やから、雪の日はほとんど止まってる みたいにゆっくりと走ることにしてる。

西川氏 個人的にはそれが正解だと思います。 まあ、まだ冬が来たわけじゃないですし、雪の話はこれぐらいにして。 そんなことより、年末に向かってどんどん忙しくなってきているそうじゃないですか。

おっさん まあな。 何じゃかんじゃで、もう許してくれってな感じや。

西川氏 大学院の講義をするんでしたっけ?

おっさん そうやがな。 もうやってるがな。あと5回やったら終わりや。別に給料もらってやってる わけやないから、あんまり力入れてないけどな。

西川氏 教授がヨーロッパに出張中の 穴埋めですからね。そんなもんでしょう。

おっさん この前教えたときに、 字が読みにくいと言われたわ。日本語でも読みにくいとか読むのが不可能などと 言われているが、英語でも同じようなこと言われるとはな。

西川氏 そうでしたか。 日本語が汚くて、でも英語は綺麗というのも変な話ですし、それはそうでしょう。

おっさん しかし考えたら、 米人もたいがい字が汚いよな。 奴らにわしを非難する 資格はないんちゃうか? あっ、そう考えると、なんか腹たってきたわ。

西川氏 いやいや、それは、しかし、 その生徒達はただ「読めない」ということを指摘しただけで、 字が汚いと言ったわけではないでしょう。彼らの言葉はそのままの意味で受け止めた 方がいいですよ。読めないというのが事実であって、そこになぜ読めないのかという 判断は含まれていないのですよ。取り敢えず読めないと伝えて、 どうするかは自分で考えてもらうということでしょう。字が汚いとは言ってないわけですから、 腹を立てなくてもいいじゃないですか。

おっさん 何を言うてるのか全然分からんわ。

西川氏 (分からんやろうなとは思ったけども。)

おっさん わしだって、米国に来た当初 は教授らの字を解読するのにどれだけ 苦労したことか。異国に来たわけやし、なんとかそれに慣れようと 努力したがな。彼らもあのときのわしのように苦労するべきや。

西川氏 いや、でも彼らは米人ですから、立場は違いますよ。

おっさん アホか? 米人もクソも あるかいな。読めんもんは読めんがな(=読めないものは読めない)。 しかし、奴らは欧米人の教授には「読めない」などと文句は言わん。 おいおい、これって人種差別とちゃうんか!

西川氏 (なんかエスカレートしてきたで。)  いやいや、そんなことはないですよ。だいたいからして、おっさんは 教授じゃないんですし、そんな単純な比較は意味がないですよ。まあ落ち着いて下さいよ。

おっさん そもそも、米国には 字を綺麗に書くという文化がないんや。昔から、なんかあったらタイプライターやがな。 それが証拠に、習字教室なんかあれへんし。 字の書き方なんか、学校でちょろっと習ったらそれで終わりやがな。 書道を英語でカリグラフィーって言うたりすることもあるらしいが、 あんなもん書道ではないし。そもそも、”道”というもんが無いんや。 だいたいからして、鉛筆の持ち方さえも、きちんと教えへんから、もう無茶苦茶や。 そのくせ、箸の持ち方だけはしっかりしてたりするんや。 ほんま、わけわからんわ!

西川氏 (あ〜あ、全否定に入ってしもたがな。 カルチャーショック症候群の典型やがな。) まあ、そう言われればそんな気もしますが、 それならば、その素晴らしき書道が存在する国に育ったおっさんはなぜ字が下手なのでしょうか?

おっさん 書道教室に行かせてもらえへんかったからや。 そんな余裕は無かったと、親が言うてたわい。

西川氏 でも、成人してから自分で 書道教室などに行くことも できたでしょうし、独習することもできるでしょう。いや、今からでも練習すれば 上手く書けるようになるでしょ。なぜ努力しないのですか?

おっさん 何も知らんくせに、偉そうに言うな!  練習はやったわ。25才とかそこらのときに、いい年して 「あいうえお」とか何度も書いて練習してたがな。それでもなかなか難しいもんなんじゃ。

西川氏 いや、それは単純に 努力が足りないということですよ。もっとやらないとダメということなんですよ。

おっさん だから、偉そうに言うなっちゅーねん!

西川氏 いや、でもそれは単純に練習不足ですよ。

おっさん わかった、わかった。 はっはっは!  お前はほんまに可愛いやっちゃのう。

西川氏 えっ? 何がおかしいんですか?

おっさん そこまで、俺の話を真に受けるとは思わなんだわ (=思わなかった)。はっはっは!

西川氏 はあ〜? どういうことですか?

おっさん 実を言うと、わしはワザと字を下手に書いてるんや。

西川氏 (何を言うてるんや、 このおっさんは?) はあ〜、そうなんですか。 で、なんの為にそんなことをするんですか?

おっさん 生徒達がきちんとわしの話を聞いているかどうか、 そしてちゃんと授業についてきてるかどうか試すためやないかい。はっきりいって、字が読めないといっても それは一部の話で、一字一句が読めないわけではない。一字一句が解読不能なら、それはもはや外国 語やがな。 ちょっとした文字が読めなくても、話の流れから何を書いているかは想像できるはずやろ。 人間には耳もあるわけやから、そこから入った情報から考えても 想像はできるはずや。それをいちいち読めませんと言うようではあかん。 日本人の生徒の場合は、それは漢字の勉強にもなるんや。 わしは漢字をちゃんと書かない。それは、漢字を書く機会がなかなか無い こっちの日本人の子らに漢字を書く機会を与えるためや。 わしがきっちり書いてしもたら、後はそれをただ写すだけの機械的な 作業になってしまう。それでは漢字は書けん。大学院の授業で言えば、 方程式を解いたときにsolution(答え)を書いたんやから、 それはsolutionやろ。それを読めないと言われても、こっちとしては そんなお前の行動が読めんってなもんや。想像せいよ、想像を。 人間には脳ミソがあるんや。これをふんだんに使えるような授業、これが わしの目指す理想の授業なんや。

西川氏 (練習不足を指摘されて万事休すやったんやろうけども、 こんなアホなことを言い出すとは) じゃあ、その気になれば綺麗に書けるってことですね?

おっさん 当たり前やんけ。何を言うとんねん、はっはっは!

西川氏 じゃあ、今ここでちょっと書いてみてくださいよ。

おっさん あーっ!

西川氏 なっ、何ですか?

おっさん 俺、腹減ったわ。

西川氏 そんなことどうでもいいじゃないですか。 さあ、早く綺麗な字を書いてくださいよ。

おっさん アホ! どうでもいいとは何じゃ!  飯を食わんかったら人間は死んでしまうんやぞ。お前はわしに死ねというのか! 

西川氏 (そんな大げさな)

おっさん もうええから、帰れ!

西川氏 (帰れ?  まあ、これ以上は可哀相やし、 この辺で許してやるか) 分かりました。では今日はこの辺で。また次の機会に おっさんの綺麗な字を見せてください。

おっさん おう、わかっとるわい。

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