平成17年10月23日のインタビュー

西川氏 最近どうですか?

おっさん まぁ、ぼちぼちやな。

西川氏  11月のブリュッセルでのレクチャー が近づいてきましたね。WEBで見ましたよ( ココか?)。

おっさん うるさい。帰れ!

西川氏 ひょっとしてまたネタが無くて苦しんでいるんですか?

おっさん そうじゃ。だから帰れ!

西川氏 でもまだ3週間ほどあるじゃないですか。

おっさん 無いわ。 当日配布するというレクチャーノートの締め切りは11月7日なんや。もうあと2週間しかないんや。

西川氏 そうですか。しかし、 そもそもこれは招待公演なんですから、要するにこれまでの研究が評価されたわけですから、 特に新しいことを盛り込まなくてもいいんじゃないですか? これまでのところを ちょこっとまとめればいいんじゃないんですか?

おっさん お前はほんまにアホやなあ。 そらあ理屈でいうたら確かにその通りかもしれんけども、実際そんな単純なもんや ない。研究発表やら講義やら何でもええけども、人前で何かの話をするときとか 論文を書くときは、まずはストーリー(物語)を作るもんや。このストーリーが明確になれば、 取り敢えず筆が進む。しかしそこで同時に、そのストーリーを語るのに必要なネタも はっきりしてくる。で、このネタがスルスル出来上がればええんやけども、 これがけっこう難しいわけや。

西川氏 例えば?

おっさん 例えば、高校数学論文でいえば、 最近書いた「整数の指数法則」では、ゼロ乗やらマイナス乗を説明するのに 「扱う対象を増やせば、いろいろと不具合や不慣れなことが起きてくる、 これらをうまく処理するのが青春なのだ」というストーリーで いこうとまず決めるわけや。それから、身近にどんな例があるか、 それをどうやって青春と関連付けるのか、それは笑えるのかなどを考えて 具体的なネタを作っていくわけや。ここが難しい。これらのネタさえ揃えば、 後は作文、もう出来たも同然やねんけどな。「2倍角、半角の公式」の論文もそうや。 まず、「もし同じだったら。。。とふと考えたら色んなアイデアが浮かんで青春なのだ」という ストーリーでいこうと決める。それから実際に「もし同じだったら。。。」 と考えたら浮かぶアイデアの例、特に笑える例を考えていくわけや。ほんで、まさに そこのところが難しいというわけや。 分かるか?

西川氏 まあ、分かりますよ。 じゃあ、研究の場合は?

おっさん 研究も一緒で、 まずはストーリーを考える。 例えば今回のレクチャーの場合は、「この問題は簡単だと思われているみたいだけど、とんでもないわよ!  とぉーっても大変なのよー! ほら、あの子達も苦労してるじゃない。 でも安心してね。私がとっておきの方法を編み出したから!」 というストーリーにしたいと思ってるんやけども、

西川氏 あの〜、なんで女の子言葉なんですか?

おっさん うるさい! その方がカワイイから に決まってるやんけ! アホか!

西川氏 (そうはっきりと言われたら、返す言葉が無いぜ。。。)

おっさん もぉ〜、変なチャチャ入れんなよ〜。 それでやなあ、 その「とっておきの方法」が今のところ無いんや。それを作るのが、ほんま難しいんや。

西川氏 ええー! じゃあ、ストーリーを変更すればいいじゃないですか! 

おっさん アホンダらぁー!  そのネタはわしが一年前から探求している手法で、 それは絶対に必要なんや、でも難しいんや。 とにかくこのネタが無ければ今回のストーリーは成立せえへん。 他のストーリーに変えるといっても、このネタが無い状態ではロクなストーリー が立てられへん。そんなしょーもないストーリーを人前で語るなど、恥ずかしくて でけへんやろ! ストーリーは何よりも大事なもんや。 ええストーリーは絶対に完成させなあかん。 その為には、死んでもネタをきっちりと揃えなあかんのや。 逆に言えば、ええストーリーがええネタを生むと言えるかもしれん。

西川氏 (何を必死に語っとんねん。 そんなオカマみたいなストーリー、大したことないがな。)

おっさん   しかしまあ、わしの研究分野で言えば、”ネタ”というのはアルゴリズムになるわけやども、 そーんなもん、新しいアルゴリズムがそないパッパパッパ出て くるかいな。いや、アイデアはいくらでも出てくるが、 うまくいくものはその中のほんの一握りや。  もちろん全てが無駄というわけではなく、失敗作でも何かのヒントになることも あるから一応蓄積はされていくわけやけども。 っていうか、もう、とにかく今わしは 新しい手法を開発せなあかんのや。 帰ってくれ!

西川氏 (6月のトロント会議のときも こんな感じで、確か2週間前やったなあ。毎度のことや。)  なるほど、よく分かりましたよ。 でも、まだ帰りません。

おっさん えっ? なんでやねん!  もうええやんけ、帰れよ! 忙しいって言うてるやんけ。 お前、頭おかしいんとちゃうか?

西川氏 う〜ん、 おかしいかもしれませんね。 はっはっは!

おっさん なっ、何やねんそれ?  お前は何モンやねん?

西川氏 何モンかと聞かれても 困りますが、 まあ、そんなに焦っても しょうがないじゃないですか。 何かを発見できるときは発見できるし、 できないときはできない。そんなもんでしょう。  そんな必死になるのも見苦しいものですよ。 もっとスマートにいきましょうよ。 私はねえ、おっさんにもっと カッコよくなって欲しいんですよね。そんな必死な姿はカッコ悪いですよ。 たとえ苦しくても、そんな素振りを見せないのが武士の誇りというものじゃないですか。 「武士は食わねど高楊枝」というやつですよ。本職でおっさんが一緒に仕事をしている 魚の卵的教授はイギリス人だそうで、その振る舞いにはジェントルマンシップ、 つまり武士道精神と並ぶ英国の騎士道精神 がにじみ出ていると聞いております。長年その教授と仕事をしていて なぜそのジェントルマンシップをほんの少しでも吸収しなかったのだろうかと、 多くの人が不思議がっているとの噂ですよ。 私は本当に、おっさんにそういう高い意識を持った余裕のある 人間であって欲しいんですよ。だから、その、あっ、あのぉ〜、聞いてますか?

おっさん 聞いてないわ、そんなもん。 お前の話は長いねん。干しブドウがタキシードににじんで、それがどないしたっちゅーねん!  クリーニングに出したらええんちゃうかー!

西川氏 (武士道と騎士道から クリーニングに飛ぶとは。。。う〜ん、アホ過ぎる)

おっさん で、結局何が言いたいねんな?

西川氏  だから、「そんなに必死にならずにもっと冷静にいきましょう」と言いたいんですよ。

おっさん やかましい! これがわしのスタイルじゃ!  ほっといてくれ! 最後の最後まで悪あがきしたるからな。俺の生き様見とけ、ボケぇ!

西川氏 (もうええわ〜) そうですか。 まあ残念ですが、それでは私はこれで失礼しますよ。ではまた10日後に会いましょう。

おっさん 10日後っていつや?

西川氏 え〜っと、11月3日ですね。

おっさん それ、締め切りの4日前やんけ!  そんなもん、あかん、あかん!

西川氏 アカンといわれましても、この インタビューは3のつく日にやると決まってますので。

おっさん そんなもん関係あるかい! 絶対あかんからな!  ここに来ても俺はおらんからなー!

西川氏 まあ、どこへ逃げようと必ず見つけてみせますので。 お好きなように。それでは、さようならー!

おっさん 嫌やからなー! そんな暇ないんやからなー!  ボケー! 

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