西川氏： 最近どうですか？
おっさん： まぁ、ぼちぼちやな。
西川氏： そろそろハロウィーンの時期ですね。 おっさんもカボチャをくりぬいたり仮装したりするんですか？
おっさん： するか、アホ！ お前はハロウィーン が何のイベントなのか知らんのか！
西川氏： え、ケルト人の収穫感謝祭みたいな 感じじゃなかったでしたっけ？
おっさん： これや。 ほんまにお前は何も知らん情 けないアホやなあ。 しゃーない、わしが丁寧に教えてやろう。
西川氏： （Wikipediaで見たんやけども、違う の？） はあ。
おっさん： 確かに元々は収穫感謝祭やった。 「収穫できて有難うね！」的な感じで、カボチャをくり抜いて可愛い顔を作って 庭に飾ってたんや。 ところが、あるアメリカンファミリーが 夜になるとその顔がごっつい怖い顔に変わることに気づいたんや。 びっくりしたアメリカンファミリーは「えらいこっちゃ、えらいこっちゃ！ カボチャのたたりや！ えらいこっちゃー！」と大騒ぎした。 そのニュースは 全国を駆け巡り、「うわ、ほんまや！ めっちゃ怖い！」「キャー！ 誰か助けて！」 「たたりや、カボチャのたたりやー！」と、アメリカ全土が恐怖のどん底に陥ったんや。
西川氏： （始まったな） へえ。
おっさん： もうそうなったら大パニックや。 大統領が「今すぐカボチャを焼却処分するのだ！」と言えば、議会は「そんなことをしたら カボチャの祟りがエスカレートするだけや！アホか！」と反論し、テレビをつければ コメンテーターが「昔からカボチャは怨念を持って育つと言われていますから ね。 今後もっと大変な事態になる可能性がありますね」などと 無責任に恐怖をあおる始末や。 おまけに「政府も頼りになりません。 ここは 自分の身は自分で守るしかありません。 少なくとも銃は用意しておいた方がいいです ね」などとテレビでやるさかいに、至るところで銃が売り切れ状態になり、 あっという間に国中に銃が広まったんや。 これがアメリカの銃社会の始まりや。
西川氏： （ポンポン嘘が出てくるなあ） な るほど。
おっさん： しかし、銃があっても カボチャの怖い顔は怖いままや。 バーンと打ったところで、カボチャは畑でどんどん 育っていく。 「あかん、恐怖で気が狂いそうや！ 助けてゴッドー！」となったとき、 一人の青年が吠えたんや。 「恐怖の恐怖による恐怖のための恐怖で対抗するのだ！」 それは後にアメリカ大統領となる、あのアブラとハムで有名なリンコルン（Abraham Lincoln）やったんや！
西川氏： （リンカーンやね。）
おっさん： 人々は、「そうか！ 怖い顔になるな ら、最初から怖い顔を作ればええんやがな！ 自分で作ったんやから全然怖くないがな！」 「おおー、すげー！ それいいぜ！」となって、全国各所で「恐怖の顔面カボチャ コンテスト！」が開催されるほど人々はカボチャを怖い顔にくりぬくことに はまっていった。 おまけに、「どうせなら怖い顔して怖い顔面カボチャを作ろうぜ！」 「顔だけじゃ面白くねえし、おいらはドラキュラに変装してやるぜ！」「じゃあ、あたしはゾンビよ！」 「よーし、じゃあ俺はフランケンシュタインだ！」となって、いろんなもんに変装して 顔面カボチャを作るようになったんや。
西川氏： （自由な発想やなあ） なるほどねー。
おっさん： 外から見たら恐ろしい光景やけども、 やってる本人らは楽しいもんや。 皆で怖い格好して顔面カボチャを作ってるんや からな。 ただ子供らは意外と冷めていて、「大人って臆病だね」「バッカみたい」 みたいなことになってて、それを見た大人が「お前たち、黙ってこれでも食 べてな！」と言ってキャンデーを山盛り子供に与えたところ、「イエーイ！」 「やったやった、楽しいなー！」と大喜び。 「よし、子供は単純。お菓子あげてりゃOK だぜ！」となって、ハロウィーンは子供にお菓子を与えるのが習慣になったというわけや。
西川氏： なるほど。
おっさん： ま、ざっとこんな感じや。 これがハロウィーンや。 しょせんは、カボチャをくり抜いて遊ぶような、そんな 食べ物を粗末にする国にしかない習慣ということや。 もったいない精神 の日本には有り得ないイベントや。 さあ、これでわかったやろ。 ほんまにお前は何も知らんアホやで。 長いことアメリカに住んどるくせに、 ちょっとは勉強せいよ。 恥ずかしいという感覚を持て！ それも日本の偉大な文化やぞ！
西川氏： （恥ずかしいのはあんたや） は い、わかりました！ では、さっそくお友達にも教えてきます。 では、今日はこの辺で。 さようなら！
おっさん： おう！ 行ってこい！ アホの友達 にもよろしくな！ あーあ、また良いことをしてしまったぜ。 ほんまにわしって 良い人やなあ。 はっはっはっは！
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