平成20年12月3日のインタビュー

西川氏: 最近どうですか?

おっさん: まぁ、ぼちぼちやな。

西川氏: ついに12月ですね。

おっさん: そうやな。 ついに平成20年も終わり に近づいてきたな。 平成が始まったのは丁度わしが高2のときやさかい、 青春ど真ん中からついに丸20年が過ぎてしまうことになる。 えらいもんやで、ほんま。

西川氏: おっさんはどんな高校生だったんですか?

おっさん: どんなんやったかなあ。。。 えらい昔の 話やさかいになあ。 もう記憶に無いわ。

西川氏: まあ、嘘でも構いませんので、 教えてください。 お願いします。

おっさん: 嘘でもええのか。 ほな、お言葉に甘えて。

西川氏: (何でもええわ)

おっさん: 思い起こせば80年代後半。 あの頃の わしはホッチキスやった。 わしがパッとくわえて一噛みすれば、 文集でも何でも一発で完成や。 しかし、やっぱり人間 の生徒と友達になるのは正直難しかった。 なんせ、 噛めばカチッと綴じてしまうもんやさかい、みんな怖がってしまうんや。  「何の話してんの!」とか言うて顔近づけたら、みんな必死にのけぞってしまうんや。  おまけに「あいつとキスしたら、口をホッチキスで留められてしまうで!」などと噂され る始末。 結局、人間のギャルフレンドなんか出来たことがなかったわ。 

西川氏: (よく真顔で話せるなあ) へえ、暗い高校時代だったんですね。

おっさん: まあ、基本的には暗かったな。  先生に「絶対落ちる」と言われながら奇跡的に合格した高 校やったからか、一年の学力試験でいきなり偏差値20や。 いろんな人間の人に「そんな 偏差値、人間じゃ有り得へんで、はははは!」などと笑わ れたもんや。 さらに、二年のときには国語がボロボロで、先生に呼び出されて「おいホッ チキス。 お前、新聞読んでるか?」「は、はい」「ふん、どうせテレビ欄やろ」てな 具合に鼻で笑われた。 古文でも「ホッチキス君。 次の試験で70点以上取らないと 単位をやれないからね。 少なくとも人間の生徒で単位を落とすような生徒は前例が無い わよ」と言われて、あまりの悔しさに枕を ホッチキスで留めまくったこともあった。 とにかく試験といえば10点、20点 が当たり前で、挙句の果てには 「 だいたい何でホッチキスが高校に来るねん? 文房具屋へ帰 れ! 」 などと怒鳴られる始末や。 一方、部活動では、 初のホッチキス部員ということでの特別待遇だったのか、1年生の分際でいきなり上級生と一緒 に練習させてもらったりして。 しかし、それが逆にモチベーションを低下させ、結局1年生の夏 休み前にやめてしもた。

西川氏: (何でも途中で辞める悪 いクセは、もうすでにこのときからあったんやな)

おっさん: わしは悔しかった。 確かにわしはホッ チキスや。 しかし、それでも一生懸命生きてきたんや。 「誰かホッチキス持ってない?」と誰 かが言えば、「ホッチキスは持ってないけど、俺はホッチキスやで」とか言うて、笑いを 取りながら皆の役に立ってきた。 このまま高校生活が終わってしもたら、 わしはただの便利なホッチキスで終わってしまう。 そんなんやったら、文房具屋を飛び 出してわざわざ高校に 入学した意味が無い。 よーし、こうなったら俺は俺、否、ホッチキスはホッ チキスや! 人間の常識にとらわれずに、自由に思うままにかましてやる! わしはそう 決心したんや。

西川氏: (同じ土俵で勝負しないってことか?)

おっさん: 試験なんか関係あるけ!ってなも んで、数学では独自の公式を導くのに熱中した。 国語の授業でのスピーチでは 「人間というのは誰かを差別することによって仲 間意識を高める性質を持っている。 ゆえにイジメは無くならない。 だいたい、 教師の間でもイジメがあるのに、生徒間のイジメが無くなるはずがないではないか!」 などと、先生の前で堂々と熱弁かました。 英語の試験では、わざわざ教科書に載っていない 単語やイディオムで英作文をし、それをバツにした先生に「意味は合ってまんがな! な んでバツやねん!」と詰め寄り、「おい、ホッチキスよ。 頼むから俺が教えた 単語を使ってくれ」と懇願された。 サッカー部をやめても、密かに他校のゴルフ部に 潜り込み、関西ジュニア選手権にエントリーして豪快に予選落ちした。 そうやって、わしはとにかく猛進した。   そして、いつの日か、「宇宙は無限だと? 笑わせんな、アホ! いつかきっと宇宙の端っこを見つけて、 この口でバチコーンと綴じてやる!」と、これまた人間の常識を超えた大きな夢を抱く ようになっていたんや。 そうして、3年生の2学期に大学進学を決意、 本格的に人間の受験勉強を始め、何とかギリギリ的に航空宇宙学科に合格。 史上初の ホッチキス大学生としてデビューすることとなったんや!

                (その後のストーリーはこちら →  「思いおこせば 90年代初頭。 あの頃のわしはまだダンゴムシやった」

西川氏: (ホッチキス大学生って、 どんな絵を想像したらええんや?) へえ、そうだったんですか。 おっさんってそ の頃から燃えてたんですね。 何だか死ぬまで燃えてそうですね。

おっさん: アホか! それ以上じゃ! 死んだら そのまま自己発火して、情熱のひとだまと化してあっちゃこっちゃへ奔走してやる!

西川氏: (奔走?) そうですね。 おっさんが燃え尽きて いる姿って、ちょっと想像できないですよ。 では今後も燃えて下さい。 では今日はこの辺 で。

おっさん: おう! かましたらぁ、あほんだら!  ホッチキスなめんなよ! カチャカチャカチャカチャ! カチャカチャカチャカチャ!

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