おっさんインタビュー


平成16年12月23日のインタビュー

西川氏 最近どうですか?

おっさん まぁ、ぼちぼちやな。

西川氏 そろそろ今年も終わりですね。

おっさん そやな。今年は、まーまーやったな。 ネタもそれなりに増えたし。しかし、本業は相変わらず苦しい 状況やけども。それでもまぁ、アルゴリズム研究ってのはそんなもんやからな。 論文もそれなりに出てるし。まぁ、来年こそはあっと驚くようなもん見つけたるがな。 とはいえ、まだ2004年が終わったわけやないし、 最後まで悪あがきするつもりやけどな。

西川氏 いいじゃないですか。本業のほうも頑張って頂きたいものです。 考えてみれば、2004年という年は、 渡米以来ちょうど10年ということで、 おっさんにとっては区切りの年でしたね。

おっさん まぁ、そうやけども。大して特別に何も ないなあ。

西川氏 思い起こせば、いろいろと感慨深いものが あるんじゃないですか。

おっさん そやなあ。そういや、ハーンとヒロノシーン が帰国してるから今一人やけど、 10年前のこの時期も一人やったなぁ。 94年の8月29日にミシガンに到着して、 すぐに秋学期が始まって、英語のクラス2つと 専門のクラス3つをガムシャラにやって、 気づいたら誰もおらんかったって感じやったなぁ。

西川氏 友達いなかったんですか?

おっさん いや、わしの居た寮にはヨーロッパからの 交換留学大学院生が大量におったんや。そいつらとは仲良うやってたんやけど、 奴らは学期が終わったら即帰国してしもた。これがまた、 皆うれしそうに帰っていくわけや。寂しい、寂しい。 ほんで、気が付いたら 寮に一人残されたって感じやわ。大晦日の夜に テレビでジョン=トラボルチョとオリビア=ヨウトンジョーンの「グリース」っていう 古い映画をやってて、その途中でカウントダウンが始まったのを 覚えてるわ。

西川氏 (トラボルタやろ? しかもヨウトンジョーンって、あんた、 養豚場みたいやがな。ニュートンジョーンやろ。) なるほどね。ま、私も似たような経験がありますから、 分かりますよ。でも、奥様やお子さんと会えないのは寂しいんじゃないですか。 家族がありながら、一人で正月を過ごすというのは さすがに寂しいと思いますが。

おっさん そらぁそうやけども。これはしゃーない。 裕之進にとって、この2ヶ月の長岡京滞在は今後の人生を左右する ほどに重要なんや。それは、1年後や2年後の2ヶ月ではあかん ねや。今なんや。

西川氏 なぜ今なんでしょうか。

おっさん それはまた今度ゆっくり話したる。 そんなことより、正月よりもクリスマスが先やろ。 明日はクリスマスのイブやで。

西川氏 確かにそうです。でも、おっさんには関係ないでしょ。 キリスト教徒ではないですから。

おっさん そう言ってしまえば、そうやけども。 そんなんいうたら、日本人のほとんどが関係ないがな。 せやけど、なんじゃかんじゃで盛りあがっとるがな。 そんなんもアリとちゃうの?

西川氏 そうでしょうか? 私はそれが納得いかないのです。 クリスマスってのは、「キリスト(Christ)の礼拝(mass)」と いう意味で、簡単に言えば、キリストの誕生祝いです。

おっさん ほ〜う、ほんだら原井さんの誕生日は ハライマスやな。安美さんの誕生日はヤスミマス、 佐賀市の誕生日はサガシマス、漫才師の誕生日は マンザイシマス、ヤドカリの誕生日はヤドカリマス、 ハゲの誕生日はハゲマス ってなもんやな。 これ、なかなか面白いがな!

西川氏 (例えが無茶苦茶やがな!) ちょっと、真面目に聞いてください!  つまるところですねぇ、キリスト教の信者でもない人が、 キリストの誕生を祝ってどうするんでしょうか? いや、知っているなら まだましですよ。そんなことも知らずにクリスマスで 浮かれているのは、滑稽ではないでしょうか?

おっさん も〜う、お前はほんまにうるさいやっちゃで。他人が 何でどう盛り上がろうと自由やんけ。ひょっとしたら、 クリスマスの日に限ってはキリスト教を信じてるかもしれんがな。 ほんだら、間違いなくキリスト教の信者やねんから、 何もおかしないやんけ。信じる信じないってのは言うたもん勝ち やさかいに、他人が判断できることやないやろ。 だいたいからして、人の誕生日を祝うのに、 信者もクソもあるかいな。みんなで「おめでとう!」って 言うてやったらえやないかい。そのキリストさんっていう人も、 きっと喜んでくれるに違いないわ。

西川氏 (キリストさんって? ひょっとして、イエス=キリストも 知らんのかいな? うっそ〜ん!)

おっさん 考えてもみろ。 お前かってそうちゃうか?  全然知らん人から誕生日おめでとうって言われたり、赤の他人が お前の誕生日を理由にパーティーで盛り上がってたり、 デパートがお前の誕生日に「ニシカワマス 大セール!」をやって たら、そらぁ滑稽かもしれんけども、正直うれしいもんやろ?  おまけに、世の中の兄ちゃんや姉ちゃんが、こぞって「ニシカワマスのイブ」 をロマンチックに過ごしたりするわけやで。一人ぼっちの人も、 「ニシカワマスなのに、私/おいら、一人なんだわ。」と寂しがりながらも、 お前の誕生日が特別な日やと認識しとるわけや。 テレビでは、 どこのチャンネル回しても、 ニシカワマスのスペシャル番組でニシカワマス一色や。ラジオでも、ニシカワマス ソング特集なんぞを流すわけや。 さらに、学校や幼稚園では、子供達が ニシカワマス会でプレゼント交換なんぞをやって楽しんでるわけや。  どないやこれ? これでも嬉しくない言うたら、それは嘘になるで。

西川氏 (う〜ん。そう言われるとそんな気もしてくるから怖いぜ。)  まぁ、そう言われればそうなのかもしれませんけどもねぇ。 そういえば、噂によると、おっさんの実家ではクリスマスイブの 晩ごはんだけは、お祈りをしてから食べていたとか。実は キリスト教徒だったんですか?

おっさん いやいや。うちのおやっさん(お父さん)は、 キリスト教の高校で働いてて、将棋仲間の牧師さんからいろいろ教えてもうてただけや。 クリスマスのときだけは、「天に召しますわれらの父よ。。。 なんたらかんたらで、アーメン」とか言うてたわ。

西川氏 なるほど。マネごとみたいな感覚でやってたわけですね。

おっさん まぁそんな感じや。かわいいもんや。 そうやって、楽しく宗教に触れ合えばええんや。 だいたいからして、キリスト教やいうても、しょせんは日本宗教の一つみたいなもんやがな。 大胆な言い方すれば、キリスト教の神も、しょせんは日本宗教の神々の中の一つやがな。 ごはん粒の中の神さんも、山の神さんも、ハゲの神さんも、海の神さんも、 鼻毛の神さんも、祖先の神さんも、足の裏の固い部分の神さんも、 学問の神さんも、アゴの神さんも、安産の神さんも、 吉本新喜劇の桑原和男のギャグに出てくる”神さま〜!”も、キリスト教・ ユダヤ教・イスラム教とかでいう全知全能の神さんも、 みんな同様に神さんなわけや。こんな素晴らしい宗教が他にあるか?  しかも、仏教的な「全ての人間は死んだら仏になる」という考えを有難く利用して、 人間は死んだら神さんになるんやということにして、 実在した人間を神社に祀ったりするわけや。 もう、まさに日本は神さんだらけや。誰かが死ぬ度に 神さんが生まれる。おお、なんと素晴らしいことよ。 おまけに、聖書もなければ、何の戒律もないときてる。なんとまぁ、自由なこと。 これぞ究極の自然宗教や。日本人はええもん持っとるで!

西川氏 (どさくさまぎれに、訳のわからん神さん 挙げとったが、 足の裏の固い部分の神さんって、なんやねん。。)   なるほどね。いわゆるアニミズム(Animism)みたいなものですよね。

おっさん 何のことか分からんが、たぶんそうや。

西川氏 分からないのに、そうだと言われても。。。

おっさん うるさい。もうそんなややこしいこと言うな。 日本宗教は素晴らしいってことやがな。それでええがな。

西川氏 はいはい、分かりました。そうしましょう。  それでは話を戻して、10年前の年末も一人だったということでしたね。

おっさん そうやそうや。懐かしい話やがな。 あの時は、いろんな人から年賀状もうたわ。 具体的に思い出したら涙が出てしまうさかいに、 これ以上は言わんけども。とにかく、 あの頃はまだ日本でe-mailなんてもんが全く普及してなかったから、 年賀状も手書きやった。それだけに、余計、遠くに来たという 感じがしたような気がする。今はメールでバチコーン!やからな。 そう考えると、手紙を書くというのはかなりの労力やで。 あの頃日本の友人からもらった手紙は今でも残してるけど、 大事にせないかんわ。

西川氏 そうですね。日本でインターネットやらメールが普及しだしたのは 1996年とかその辺りでしょう。私も94年に米国に来て、 初めてe-mailという単語を聞いたときに、違和感を感じて「なーんやねん、それ!」 と思った記憶があります。日本の大学関係者でも、助手の人でさえ 個人のアドレスなど持っていなかったようですからね。

おっさん せやな。96年とか97年とかの頃、 日本の知り合いの中には、外国に居る人間とEメールをしていることに 興奮してた人もおったなあ。せっかく頑張って日本語でメールできるように したのに、わしにワザワザ英語で書いてくれと頼 んでくるんや。

西川氏 そんな人が居ましたか。今では考えられませんが、 確かにあの頃はそんな時代でしたよ。そういえば、知らない間に 携帯電話も普及しましたよね。

おっさん そやな。わし、いまだにようわからんわ。 一時帰国したら持たされたりすることもあるけど、 人前でよう話せんから電源切ってるもん。いまどきこんなん 言うてたらアホやと思われるやろうけど、なかなか慣れんわ。

西川氏 私もそうです。確かにこっちでも 携帯電話はそこそこ普及してますが、田舎ですし、 そもそも私は使ってないですし。いつの日か、日本に 永住帰国することになれば、すぐに慣れるとおもいますけどね。 しかし、あと何年米国に居るのでしょうか?  それとも、永住権も持ってますし、米国に永住するのでしょうか?

おっさん 永住権は関係あれへんがな。 あれは、永住しようと思えばできるだけのことで、永住するかどうかは また別の話やろ。

西川氏 まぁ確かに。なにはともあれ、この先、 永住するのか、帰国するのか、一体どうなるのでしょうかねえ。

おっさん さあな。わしもようわからん。少なくとも、今すぐには帰られへん。 せっかく無茶やって出てきたんやさかいに、 もっともっとガッツンコかまさんと、無茶をかまされた方々に対して 申し訳が立たんがな。

西川氏 分かりにくい言い回しですが、私は分かりますよ。 そうですよ、もっともっとかまさないと。

おっさん そや。人生かましてなんぼやからな。

西川氏 来年も大いにかましましょう。

おっさん おう、まかせとけ。

西川氏 それでは良いお年を。3日にまた来ます。

おっさん おう。ほななー!



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