平成17年1月23日のインタビュー

西川氏 最近どうですか?

おっさん まぁ、ぼちぼちやな。

西川氏 えー、前回のインタビューの後に ちょっと考えてみたんですが。今日はまず、私の考えを聞いてください。

おっさん おう、聞いたろやないかい。言うてみい。

西川氏 おっさんはですね、 やはりタバコを止めようと思ったんですよ。 前に「神さんの意思なのだ」 で話していたように、タバコを吸っていてもいいことなんかないわけです。 臭いし、汚いし、えづくし、金もかかるし。 リラックスするといっても、 それは所詮ニコチン中毒の禁断症状を和らげるときに感じる快感です。 タバコを吸ったことのない人間が初めてタバコを吸ったときにはゲホゲホするだけで 少しもリラックスしないという事実がそれを物語っています。ただ、頭ではいろいろ分かってても、 ニコチン中毒なのでなかなか止められないわけです。 さて、ここで重要なのは"止める"という行為は我慢だということです。 吸いたいのに吸わないのは辛い。だから、頑張ればある程度は続くかもしれませんが、 いずれ吸うことになるのがオチです。それは、飛行機やデパート内などの禁煙空間でタバコを我慢する ことと同じようなものです。その空間を出た途端に吸うわけで、根本的にタバコを断っ たわけではないのです。 これでは止めることはできない。 そこで、考え方を変えてみたんじゃないですか? すなわち、タバコを買わないと いう考え方に変えてみたんです。この考え方の優れた点は、その結果 ハッピーな気分になれるというところです。何も我慢してませんからね。 つまり、「タバコを止めた」ではなく「タバコを買わない」と考えることによって、 たかり屋や税金などから解放されて幸せになったと感じること。幸せなのだから、 その状態は続く。そして、ふと気づいたらタバコを止めていたということになる。 そう、あくまでも主眼は「買わない」ことにあるという訳です。 どうでしょうか?

おっさん ほーう。アホのくせに、 よくそこまで分かったなあ。

西川氏 アホではないですが、 やはりそうでしたか。

おっさん まぁ、だいたいは合ってるっちゅーこっちゃ。 タバコを買うのを止めて既に1ヶ月以上経つし、そろそろ教えてやってもええやろう。 これは、お前が思っている以上に奥が深い。確かにわしも最初はその程度の 考えやった。しかし、そこから考えをさらに深めていって、 遂にMethods of Foci(MOF)という独自の方法を構築した。ちなみに日本語やったら、 全部単数形にしてメソッド・オブ・フォーカスとすれば呼びやすいし、又は単に”焦点法”みたいなんでもええやろう、 はたまた略字のまま”モフ”とか”モッフン”と読んでも面白いであろう。

西川氏 (モッフンって、略字のままと ちゃうやんけ。) なるほど。ぜひ聞かせてくださいよ。

おっさん まぁ、聞かしたるがな。 せやなぁ、ここは取り敢えずタバコの話を一般化することから始めてみるか。 これは、MOFの中でも逆接的MOFと呼ばれる若干変則的なやつや。 タバコの例からも分かるように、これはある目標を実現するのが 精神的な辛さを伴うなどして困難なときに役立つ方法や。その原理は以下のスリーステップからなる。

逆接的MOF (IMOF=アイモフ:Inverse Method of Foci)
  1. 実行が容易で、かつ”本来望むこと”を結果的に実現するような”別の目標”を見つける。
  2. そして、”本来望むこと”を完全に忘れ去り、”別の目標”にだけ焦点を当ててその実現だけに努める。
  3. その”別の目標”を実現した結果、気づいたら本来の望みを達成していたこととなる。
ここで、ちょっと注意をしておこう。MOFでいう「焦点を当てる」とは、 「狙いを定めて、余計なことは一切考えず、そのことだけを考える」ことを 意味する。これが大前提や。だから前回のインタビューでお前が「最初からタバコを吸わなければいいじゃないですか」 とかなんとか細かいことを突っ込んできたとき、わしは元々まともに議論する気がなかったというわけや。 そんなことを真剣に考えたら、焦点がボヤけてしまうからな。だいたいからして、俺は別にタバコについて一般的な議論をしようなんぞ はこれっぽっちも思ってない。ほんまにお前の言う通りかもしれんしな。 わしはただ”タバコを止める”という”自分にとって困難な目標”を実現できたら それでええんや。ここのところは大事なことやさかいに、きちんと頭に入れておけよ。

西川氏 うーん、なるほど。 要は、己の望むところを実現できればそれでいいというわけですね。 というか、それが目的なんですよね。で、タバコの場合、その”望むこと”が「タバコを止めること」 ですね。”別の目標”というのは「タバコを買わないこと」ですね。後者は、 税金などから解放されてハッピーに感じるので実行が容易であり、 結果的に「タバコを止めること」にもなるというわけですね。

おっさん その通りや。どや? ようでけた方法やろ?(よくできた方法だろ?)

西川氏 うーん、実際におっさんが それでタバコを吸わなくなったんですから、少なくともおっさんには 効果があったわけですよね。だったら確かにスゴイと思いますよ。 おっさんはタバコが手元にないと怯えてしまうほどの中毒ぶりでしたからね。 ただ、わざわざ逆接的MOFなんて、名前をつけて一般化する ほどの価値があるのかどうか、まだわからないですね。 つまり、他に用途がないのならば、これは逆接的MOFではなくて ただの「タバコを止める方法」でしかないですから。 この逆接的MOFというのは、他にどんなところで使えるのでしょうか?

おっさん お前も細かいやっちゃのう。

西川氏 いや、否定しようとしているわけじゃないですよ。 本当に分からないだけなんです。

おっさん そういう言い方はちょっぴりムカつくが、 言わんとすることは分かる。しかしなあ、誰でもどっかでこの方法を使っているんやで。 例えば、ニンジンが嫌いな子供にニンジンを食べさせる為にと、 ニンジンをすり潰して子供の好きなカレーライスかなんかに 入れたりするがな。あれは正に逆接的MOFや。フォーカスをニンジンからカレーライスに 移すわけや。すると、好きなものを食べるわけやから子供はハッピー。結果的にニンジンも 食べることとなり母ちゃんもハッピー。 また例えば、日本の歴史のマンガなんかも逆接的MOFと言える。 日本の歴史をそのまま活字で読ませるとか、話を聞かせるとかしても 子供は退屈かもしれん。そこで焦点を子供の好きなマンガに持っていくわけや。 絵やらストーリーやらがうまくできていれば、子供は好きなマンガに夢中になり、結果として 日本の歴史を学ぶというわけや。もいっちょ例えば、 まずい飯でも空きっ腹を満たす為の食事やと思えば 味は気にならないというのも逆接的MOFであろう。

西川氏 (最後の例はよくわからんが) ほーう、なるほど。 ダイエットなんかにも応用できるんじゃないですか?

おっさん もちろんできるがな。 一番のダイエット法は”食べない”ことや。しかし、これはなかなか辛い。 これはタバコを止める状況と似ている。食べるのを止めると思うと、 まず無理や。タバコの時にも言ったが、我慢ってやつは長くは続かない。 そこで、他のところに焦点を当てる。例えば、タバコと一緒で 「お金貯めたいから、食べ物を買わない」という感じで焦点を当ててもええわな。 ほんで、スーパーに買出しにも行かず、レストランにも行かずして、 お金が貯まっていくのを見ながらその状態を楽しむ。 それは楽しいから続く。で、気づいたら痩せてたと。

西川氏 なるほど。しかし、 ごはんをきちんと食べても、激しく運動すれば痩せるんじゃないですか?

おっさん 当たり前やがな。 例えばの話やんけ。お前はまだ理解できてないようやな。 ”別の焦点”ってのは一つしか存在せんと思ってないか? いろいろあるに決まってるがな。お前の言うとおり、運動しても 痩せるわいな。それを焦点にしたい人はそうしたらええんや。 この場合、「ダイエットの為の運動」と考えると、それは辛いので 長くは続かない。そこで、別の焦点を考え出す。 ほんでまあ、これも人によっていろいろあるやろけども。 例えば、これは一般的やけども、スポーツジムなどに入会して「こんだけお金払ったし、 運動しないと損するわ!」というのに焦点を当ててもいいやろう。 又は、「若くてピチピチの早朝マラソンボーイと仲良くなりたい!」 などという考えに焦点をあてて、毎朝そのピチピチボーイの後ろに付いて猛スピードで走るとか。 さらには、引ったくりを利用するという方法もある。 引ったくられやすいようにバッグをゆるりと持って町を歩いて、 引くったくられたら必死で追いかけて、これがええ運動になるというわけや。 いずれにせよ、ダイエットのダの字も出てこんわけやから、 楽々ダイエットができるで。

西川氏 なるほど、はいはい。 まぁ、後の2つの例はどうかと思いますが。

おっさん どうかと思うってどういうことやねん!  ハゲたことを言うな、この屁こき虫!

西川氏 誰が屁こき虫ですか!  失礼な!

おっさん お前はほんまにわからんやっちゃで。 ほんまに博士号持っとんのか? あのなぁ、アホみたいな例やと思うかもしれんが、 実際それで痩せることができるがな。ようは、そう思い込めるかどうか、己のサジ加減一つやがな。 ここで、「思い込み=焦点を当てる」ってことやんけ。どんなアホな考えでもええんや。 己が己の目標を達成できればそれでええんやさかいに。分かったか、この屁こき虫ボーイ。

西川氏 まぁまぁ、冗談ですよ。分かってますから、 そう怒らずに。 そういえば、今ふと思いましたけど、例えばお金を貯めたいと 思っても、なんだかんだ買ったり食べたり遊んだりして、なかなか貯まらない もんですよね。そんなとき、お金を使うヒマがないくらい忙しい仕事に 就くってのも逆接的MOFじゃないですか?  つまり、忙しすぎてお金を使うヒマもなく、ましてやお金を貯めようと 考える心の余裕もない。で、そうこうしてる内に気づいたらお金持ちになってる。 え〜、私は屁こき虫ではないですが。

おっさん 確かにそれも一つの例や。 まぁ、そんな理由で仕事を選ぶのもどうかと思うが、確かにそれで金は 貯まるってわけや。 それでええねやないかい、屁こき虫君。

西川氏 なるほどね。 結局のところ無意識の内に皆どこかで使ってるんだけど、こうやって一般化して みると、今まで使ってなかったところでも使ってみようかと思え てくるわけですね。これが一般化の効果というやつですね。まぁ、私は屁こき虫ではないんですけども。

おっさん その通りや。 お前もただのアホではないようやな、屁こき虫ちゃん。

西川氏 ちょっと今後、逆接的MOFの いろんな応用を考えてみますよ。今日は有難う御座いました。なんか宿題持って帰る 気分ですよ。それではまた、10日後にお会いしましょう。おっと、これ ”逆接的”なMOFですよね? ってことは、直接的MOFってのもあるのでしょうか?  ちなみに、本当に私は屁こき虫じゃないですよ。

おっさん 直接的MOF、あるがな! 当たり前やんけ。 正直な話、全てはそっちゃの方から始まったんや。また今度教えたるわ。 今日はこの辺で帰ったれや、屁こき虫博士。

西川氏 そうだったのですか。 しばらくはこの逆接的MOFのことを考えたいので、直接的MOFはまた次の機会にお願いします。 では、あくまでも私は屁こき虫ではないということで。

おっさん ほななー、屁こき虫ザムラ〜イ!

西川氏 さようならー、屁こき虫じゃないですよ〜!

次回に続く。



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